
前回の記事で防音シートの説明を致しましたが、今回はより詳しく説明いたします。
但し、私は音の専門家ではありませんので、経験が主体となり、もし間違った解釈があればお許し下さい。
前回、防音シートは吸音性が高くないことを書きましたが、吸音しないわけではありません。
音波が空気中を伝播して防音シートに当たると殆どは反射しますが、一部はシート内に滞留(とは言っても長い時間ではありません。)して、内部に滞留したエネルギーは運動エネルギーとなって振動したり揺れたりします。
これが結果的に吸収(吸音)となります。
従いまして、同じ材質ではシートの厚さが大きいほど滞留するエネルギーが大きくなるので結果的により大きな吸音性を発現します。
また、反射した音波はより長い距離を伝播しているので、その分減衰量が大きくなります。
連続して音を発生するような機械などの音は、発生した音波と反射した音波が当たれば、大きく減衰したり、共鳴したりしますが、閉ざされた空間ではないので一部の場所を除いて殆どは大きく減衰するのではないでしょうか。
今回このような説明を致しますのは、前回記事を書いた日に偶然、「吸音計算を行ってほしい。」との電話がかかってきたからです。
下水管工事で建機の発する音が10mも離れていないお宅からの苦情となったようです。
防音壁は3mの高さとのことですが、あまり効果がなく困っているとのことでした。
詳しく聞いてみますと、防音壁の後ろに当社の防音シートを設置し他場合の計算を行ってほしいとのことで、土木建設会社でありながらあまりの知識のなさに閉口してお断りしました。
一応、防音を行う壁を2重にする意味が殆どないこと、民家の2階に人がいれば3mの高さでは足らないこと、音波は波長が大きいので防音壁の横をぐるりと裏まで回ること等などを説明して、とにかく広めに音源を囲うことが一番大事と説明しましたが、計算が出来ないのであれば結構ですと電話が一方的に切られてしまったのです。
防音壁に当らない音波はそのまま大気中で広がってゆくので、とりあえず大きめに囲うことが基本ですが、それさえも理解が出来ないのですから弱ってしまいました。
どうも、音波が接触しなくても防音シートが周りの音を吸音すると思っていたようです。
このような企業が下水管の設置工事のような公共の工事を行っているのですから、困ったことです。
簡単に言えば、防音シートとは遮音シートとお考え頂いたほうが、より現実的かもしれません。
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