
OD色でお分かりのように本品も当初は自衛隊向けに開発したものです。
以前、台湾のポリエステルやナイロンの大手モノフィラメントメーカーの技術顧問として指導を行っていた関係でユーザーのマジックテープやジッパーのメーカーを訪問することが多く自然とかばんやバッグ、アタッシュケース、リュックサック、ポーチなどにも触れる機会がよくありました。
今では、それぞれのメーカーは大きく発展し大変嬉しく思っています。
そのような事情で当時はかばんやバッグ、袋物の企画の依頼がよくきたものです。
航空自衛隊から訓練用のリュックサックの開発依頼が来たのはそんな時でした。
一番の条件は画像のように肩に掛かったベルトから垂れたベルトの端が握りやすい位置にくるようにすることで、このベルトを掴んで腕を振りながら歩くと疲れにくいとのことでした。

更に前部の大きな収納部の開閉部のジッパーを斜めに出来ないかとの相談も受けました。これは緊急時に後ろにいる隊員が直ぐに前ポケットを開けるようにとの配慮でした。そこで、手袋を装着しているときでもジッパーの開閉が容易なようにジッパーのスライダーの頭に、更に細くて丈夫なベルト状の紐で円環状の指を通す箇所を付け加えました。これによりファスナーの位置が簡単に分かるようになりました。
使用の生地に付きましては、ポリエステルの厚手で、色は勿論OD色とのことです。
このような条件で、こちらでリュックサックを試作しては作り直しを繰り返して出来上がったのは試作の依頼から約一ヶ月後のことでした。
試作品を数点作って提出したところ、装着しての実施テストはあの有名な八甲田山とのことです。
テスト中は大変気になり随分と時間が長く感じられました。結果が出たのは、一ヶ月ぐらいの後のような記憶があります。(10年以上前のことですから、期間的なことはあいまいで申し訳ありません。)
返ってきた答えは、よく出来ているとのことでしたが、開閉部の防水性の向上ということでした。
早速、ジッパー部を覆って雨水が入らないようにして再度試作品を送ったところ、了解を得て、発注をいただくことが出来ました。
その後、間欠的に5、6回のご下命をいただきました。
当社のホームページのODリュックサックは上記の納入品と同じものです。
現在では、生産は当社と相互に売買のある日本のメーカーの現地工場(中国)で行っています。従いまして、生産地表示は中国となっていますが、工場は日系企業です。