EVA樹脂の架橋発泡は当社の得意とするところで、原料の調合から練り込み、加熱プレス、二次加工まで全て自前で行っています。
そのため打ち合わせ段階で、色、発泡倍率、硬度(柔かさ)、架橋度、製品のサイズおよび形状、表面のエンボスの有無(スキン層の有無)、ロットなどをお聞きすればそれに見合った商品を作り上げて行くわけです。
色は発泡体のため、やや白く薄めの色になります。また、所定の厚さにするためのスライス加工(漉き加工)の際の刃物の動きによって同じ色合いのものでも違って見えることがあります。このことはいつも悩みの種です。出来上がったシート状のものに熱ローラーでエンボス加工すれば表面にスキン層(皮膜)ができ、概観上の色むらは大きく軽減されます。
また、スライスして出来上がったシート状物の周囲は発泡の目が細かく色が濃くなります。通常は端縁部は取り除くのでこれが原因の色むらはそんなに発生しません。
発泡倍率は8~15倍程度のものが多いのですが、架橋発泡は化学発泡のため発泡の粒は肉眼で見るにはよほど眼を凝らさないと分からないでしょう。
硬度は原料配合による方法、架橋度(熱プレスの時間や温度条件の調整)による方法、架橋剤の種類や含量調整による方法をいくつか組み合わせて行います。
架橋度は架橋剤の含有量と種類に大きく依存しますが、プレス温度やプレス時間によっても調整します。
出来上がった発泡体は冷却された後にサイジングされます。この冷却時間(養生)が非常に大切で完全に冷却した後でないと熱収縮が発生します。また、原料のEVAは結晶性の樹脂のため結晶化度の均一化も非常に重要です。
サイジングはスライス(水平切断)とバーチカル(垂直切断)が基本です。この作業は非常に危険で、出来栄えは職人さんの技量に依存することになります。
時にはテーパを持った斜めの切断を行う場合もあります。スポンジマットの段差解消用のテーパ材はこの切断によるものです。
エンボス加工は一度架橋して出来上がったシートに予熱を加えてエンボスロールに掛けるので、未架橋の架橋剤がいたずらをする可能性がありますので、短時間で、しかも低温で行う必要があります。また、結晶化温度以上になり、冷却時に結晶化収縮を起こすので発生を抑えるためにも出来うる限り低温でしなければなりません。
ロットに付きましては、配合や粗練りを行うバンバリーミキサーの容量の関係で120kg程度の原料を使った製品でないと対応できません。
テスト機を使って試作を行う方法もありますが、手間ひまが大変で社内用の開発品以外は出来るだけ行わないようにしています。
近頃、同業の方からの技術的なお問い合わせが多いのですが、技術的な知見もなく答えだけを求める方が非常に多く困っています。
また、企画関係の方が商品開発にEVA発泡体を使いたいと仰る方のお問い合わせもEVAの性質から説明しなければならないことがよくあります。
この記事がそのような方のご参考になれば幸いです。