
これは防音効果をより高く発現するために衝撃分散のためのスキン層(皮膜層)と衝撃吸収層(発泡層)の層数を多くして相乗効果を高めることが第一義です。
また、出来上がった防音マット用の原板や加工後の製品が簡単にチェックできるように各層の色を変えてあります。実は防音マットの各層の物性値は全て同一ではありません。中心の黒い層は表裏の層に比べて微妙に反発性(硬度)が高くなっています。
各層の色のチェックで規格通りの層構造になっているのかが簡易に分かるのです。
更に各層の接合にはシックハウス症候群対策のため接着剤や粘着剤を使わず、熱融着による接合を行っています。しかもスキン層を出来るだけ破壊しないように厳しい熱管理の下に行っているのです。これは技術的に大変厳しい工程でもあります。
その結果、原材料は全て固形物となり、フォースター(☆☆☆☆)の適用除外品ですから室内での健康にも支障のない商品で安心してお使いいただけます。
今回は防音用スポンジマットのテーパ材のご使用方法について説明いたします。
テーパ材は床とスポンジマットの厚さ(21mm)との間に生まれる段差を解消して、つまづきやカーペットの捲り起きを防止するためのものです。
通常はスポンジマットの上にカーペットなどが敷かれるためにテーパ材の配置(表裏、上下の向きのことです。)はさして問題ではありませんが、同色に揃えてそのままお使いの時は小さな隙間が発生します。
これは原板からの加工工程上下図のようにやむを得ないことです。

また、スキン層を下になさると垂直になりますが、冒頭に説明した理由により3色の断面が表に出て見栄えが良くありません。
このスポンジマットでの単独使用の際に、テーパ材とスポンジマットとの間に出来る隙間をなくして見栄えを良くするためには下図のように指しを当てて直線に、そして出来るだけ垂直に切断することになります。(これによりテーパ材の幅の調整も行えます。)

スポンジマットのケース、またはケースに入っている付属のダンボール板の波筋に合わせて出来るだけ大きめのカッターナイフで切ることが上手に切ることのコツです。カッターナイフの刃は新しいものをお使いいただきますと表面に残っている油が潤滑剤の役目をして切りやすくなります。でも、切る際にお怪我をなさらないように十分に気をつけてください。
最後に付記いたしますのは、スポンジマットは防炎製品ではありませんので単独使用でなく、防炎認定のカーペットなどでの仕上げをお勧めします。
(このお手紙の掲載のご了解は得ています。原文の箇所はそのまま記載します。また、プライバシー保護のためお名前は仮名と致します。)
この記事は、お読みの方のための説明も兼ねて問答形式のようにいたします。
>朝夕と肌寒くなりましたが、お元気にされているでしょうか
>9月6日にショールームへ伺った大宮(仮名)です。日曜日でお休みにも
>関わらず、色々とご親切に教えて頂いてありがとうございました。
こちらこそ休日にお越し頂き、ありがとうございました。
当社のショールームは平日にお越しいただけない方のために休日にご予約いただいた方の
ために開いています。
殆どの方はご自分で施工なさるので、出来るだけ分かり易いように現物の前で
説明申し上げるようにしています。
メーカーにとって商品にご納得いただいて購入なさることは本当に嬉しいことです。
>足音の原因となっている2歳の息子に「おじちゃんとこ、たのしかったねぇ。」と
>頂いた蛍光の棒を毎日振り回したり、暗いところで光るのを観ては
>「すごいでー、光ってるー」と楽しませてもらっています。
おぼっちゃんの喜んでいただいてる様子がよく分かります。
本当に可愛いお坊ちゃんでした。抱っこをせがまれた時は驚きましたが、
嬉しくもありました。
蓄光(蛍光)の棒は、防衛省向けの蓄光発泡シートの試作品の切れ端です。
もっとあげればよかったですね。
>おかげさまで、マット、カーペットをきっちり敷くことができ、以前よりも
>きれいな部屋になりました。音が一番気になっていた廊下部分も
>足音がかなり小さくなり、高さの関係でマットが敷けずカーペットのみの
>ドア部分は、テーパー材を使うことで段差につまづくことなく
>歩かせてもらっています。
お買い上げいただいたタイルカーペットは、セルフロック(自己粘着)タイプなので
粘着剤の塗布や両面テープを必要としないF☆☆☆☆(フォースター)認定品で、
シックハウスの心配のない商品です。
業務用なので内部に丈夫な基布が入っていることに加え、防汚性や撥水性、
防ダニ性等も備えています。
勿論、防炎認定品でもあります。また、反発性や耐久性に優れたナイロンパイルが
使われているため、スポンジマットに併用することで、防音効果が相乗し、
より高い防音性能が得られます。
但し、当社製品でなく、柄の対応などもあってホームページには掲載していません。
当社でスポンジマットをお買い上げになった方でタイルカーペットの
ご相談を頂いた方にのみ、格安で販売しています。
スポンジマットの施工は比較的簡単ですが、タイルカーペットは仕上材なので
根気よく施工なさったのでしょう。
また、テーパ材の位置決めはタイルカーペットのめくれを防止するためにご苦労
なさったことでしょう。
>又、今迄、子供の足音に神経をすり減らしていたことから
>開放され、やっと生後一ヵ月半の娘へも安心してゆっくりと
>関われるようになりました。 二歳の息子には注意することが
>ぐんと減ったことで、息子の笑顔も多く見られるようになりました。
そうですね。
お坊ちゃんは何も悪いことをしているわけではありませんから、お気の毒でした。
多感な時期ですから、心が傷つかなくする必要があります。
そういった意味でも本当によかったですね。
奥様も肩の荷が取れてご近所づきあいも随分とお楽になることでしょう。
>安心して生活できる幸せを頂いて 本当にありがとうございました。
>今後とも どうぞよろしくお願い致します。
> お礼まで
こちらこそ、ご丁寧に後近況をお知らせくださり ありがとうございます。
心温まる、また、嬉しいお手紙でした。
今回はカーペットで仕上る前の画像を掲載しました。スカイブルーは強力マット21mmタイプで沈み込み防止用のマットです。上左図の強力マットの上には大型テレビ台、上右図の強力マットの上には棚が並べられます。
防音用スポンジマットをお買い上げいただいた方の半数以上の方は数量が足らなくて追加のご注文を頂いています。
そのリピートのご注文の備考欄に騒音問題から開放されたお喜びとお礼の文章が書かれていることがよくあります。
また、ご自身で施工なさった後に、改めてお礼のメールを頂くこともしばしばです。
商品をお買い上げいただいた上でのお礼ですから大変嬉しく思いますが、お客様からのメールですからこちらも恐縮してしまいます。
それらのお礼の文面は、スポンジマットシリーズのこれからの更なる改良と品質の維持への激励と思ってモチベーションを高めるようにしています。
ところで、時々メールではなくお手紙での礼状を頂くことがあります。
今回はそのお礼状を頂いた一例を取り上げてみます。
お手紙を頂いたのは長野県の女性の方です。
スポンジマットの販売を始めて間がない頃ですから、約10年弱前ごろのことです。
その頃はシリーズでなく、スポンジマット本体とフチ材のみです。
お電話を受けたのは私ではありませんでしたが、話が極めて深刻そうなので替わってお聞きすることになりました。
受話器からもすすり泣きの様子が良く分かります。
30分以上お話を伺って大体のトラブルの状況はつかめたのですが、肝心の床の構造が分からず問い合わせますと古い木造のアパートで床は板張りとのことです。
つまり床の状況は床板と階下の天井板のみとなり、現状はほぼ音や振動が筒抜けの状態です。
いくらなんでもこの状況では折角スポンジマットをお買い上げいただいても効果が発現しない可能性があります。
期待するとしたら、全面に敷くことで音の漏れを防ぐことと梁(大引)と根太のバランスがよくスポンジマットとバランスよく衝撃を吸収できる場合のみといってよいでしょう。
そのことをお伝えして、スポンジマットがお役に立てるかどうか分からないことも説明しました。
しかし、その方は「効果が認められなくてもクレームにしませんからとにかく出荷してほしい。」と仰るのでとりあえず1ケース(30枚)をお届けしましたが心配でなりません。
ところが、その心配を払うかのように3日後に弾んだ声で追加のご注文を頂いたことの連絡が営業より私の方に入りました。
それでも私は半信半疑でしたが、更に数日後に毛筆で書かれたお手紙を頂いたのです。
文面は、音のトラブルから開放されたお喜びと苦しい時に親身になってご相談に乗ったことへの感謝のお気持ちが書かれていました。
拝読して、その方のお気持ちが伝わってきて本当に良かったと思うと同時にネット販売で直接消費者の方へ販売できる状況に感謝しました。
(その頃は、当社のようなメーカーが消費者の方へ直販している例はほとんどありませんでした。)
その後、大阪のショールールで、お客様からのご相談を受けるようになったのはこれがきっかけです。


(リビングの対面で同じ場所ではありませんが、リビング内の施工途中と施工後の画像です。)
今回はスポンジマットとタイルカーペットの記事を書きます。
スポンジマットとタイルカーペットの施工で大きく異なるのは、スポンジマットが壁際からの施工に対してタイルカーペットはお部屋の中から壁際に向けての施工を行うということです。
スポンジマットは段差を作らないためにも全面に敷くことが理想的ですが、バリアフリーのお部屋ではドアに当る場合が良くあります。
その場合は、そのドアの開く箇所は避けてテーパ材で囲うようにして、その開閉箇所はタイルカーペットのみとします。
上画像は、スライドドア出入り口に段差解消にテーパ材を使った後にタイルカーペットを上に敷いた当社の防音施工例です。
タイルカーペットは、腰(裏面のバッキング層のことです。)が強く、防音効果の点からパイルがナイロン製で、パイル高が大きいものが良いでしょう。
また、防ダニ処理済や防炎認定品、防汚性のあるものをお選びになることをお勧めします。
更に、粘着材を塗布したものや接着(粘着)剤を必要とするものよりは、溶剤を含まず4☆認定のカーペットをお勧めします。
周縁(壁際)処理は、スポンジマットの場合は、壁から5~10mm程度の隙間を作って敷くことが肝要です。(夏場の留守中にお部屋の気温が高くなってスポンジマットが膨張して外れることを防止するためです。尤も、外れてしまっても膨張した部分をカットすれば簡単に修復できますが・・・)
詰め込むように敷き込むことは避けてください。
タイルカーペットは内装仕上材ですから、周縁処理はきちんと仕上る必要があります。
壁は一見直線状に見えますが、細かな、緩やかな曲線、斜線を描いている場合が殆どですから、壁に合わせて仕上る必要があります。
簡単な方法としては、残った寸足らずの床に当てて、中央より敷いてきたタイルカーペットの下に敷いて、そのカーペットの端部に沿ってカットすれば、カーペットと壁の間に収めることが出来ます。
当社のショールームにお越しの方で、スポンジマットの施工方法を説明する時に、上記の廊下でドアが外開きの箇所はタイルカーペットの単独使用をお勧めしていますが、廊下の場合は下に配管が通っている場合が殆どで何もしないことよりは少しでも音を軽減させるための処理です。
本来ならば、ドアの底を20mm強カットして、スポンジマットを敷いてもドアが当たらないように処理することが望ましいのですが、さすがに人様のお部屋のことですから、申し上げにくく、やむを得ずの判断なのです。
ところが、タイルカーペットでフローリングの床の衝撃音のトラブルが解決すると思い込んで、タイルカーペットのみで防音処理ができると思い込まれた方が一例発生しました。
多分、私の説明の後に、防音カーペットをお調べになって、「LL40以下に出来るタイルカーペット」のショップから購入なさったのでしょう。
私共の防音試験結果ではフローリングの上にタイルカーペットを敷いただけでは、LL40以下にはなりません。
コルクを貼った分厚いタイルカーペットを除いた通常のタイルカーペットで階下との騒音トラブルが解決するとは非常に考えにくいものです。
現実に、防音カーペットを購入してもトラブルが解決しなかったので、当社のスポンジマットをご購入いただいている方が沢山いらっしゃいます。
騒音トラブルはその問題を抱えた方にとっては非常に深刻な事態です。
そのことを考えて、タイルカーペット単独でLL40以下の表記を行っているショップの方には、タイルカーペット単独処理での軽量衝撃音試験の試験結果を表記してほしいものです。
当社グループでも一部バスマットの生産をしていましたが、バスマットは上面に掛かった水を通す通水のための穴があり、最近のものは裏面で水が流れるように突起が出ています。
バスマットの樹脂原料としては以前はポリエチレンが多く、粗い発泡と表面の強化のための模様入りのシートの溶着が特徴です。しかし、軽量で水に流されやすいことや貼り付けたシートの剥離の発生があり、現在はあまり使われていません。スポンジマットと対比されるのはこのタイプのものです。
最近では、ブロック発泡したEVA系のものが殆どですが、このタイプのものは硬度からいって、衝撃吸収には向いていません。
当社のスポンジマットは、数多くの発泡製品を製造している中でも、特に衝撃を吸収して音の発生を軽減するために作られた床の防音専用の発泡マットです。
以下に構造の面から防音性能の発現の説明を行います。
上図のようにスポンジマットの断面は3層になっていますが、単純に一体成形や積層成形したものではありません。
また、各層の色が異なるのは、手間が掛かっても各層の品質をそれぞれにチェックするために必要なことなのです。
製造工程としては、

のように、各原板(各色の発泡体)を規格に合わせて生産します。
この各原板は発泡層と両側のスキン層から成ります。
発泡層は衝撃吸収性に優れ、スキン層は衝撃の分散性に優れていますので、スキン層が破壊されずに残るように非常に微妙な温度管理で融着されます。
この結果、6層のスキン層(実際は出来上がった時点で4層ですが、)と3層の発泡層が残った状態となっています。
更に、各発泡体(3層)をみれば、両側の発泡層は非常に柔らかで、中の芯の層は両側に比べてやや硬め(それでも随分と柔らかです。)です。
つまり、各発泡体でみれば、衝撃吸収性に優れた発泡体の間に衝撃吸収性と衝撃分散性に優れた発泡体が挟まっていることになります。
これらは実際のご使用結果を検討しながら改良を重ねてきた結果なのです。
また、色に付きましては、各発泡体が規格どおりに出来上がっていることがチェックしやすく、製造に手抜きのないように、との目的で発泡体間で異なった色になっています。そして、片面は畳みの色に近いもので落ち着いた雰囲気になるように、もう片面は汚れが目立たないようにパープルでといった具合に仕上がっています。リバーシブルなので、お好みの色がお使いいただけます。
スポンジマットの構造について、更に、何故スポンジマットは防音効果が高いのか、をご理解いただけましたら、幸いです。
